後遺障害診断書(自動車損害賠償責任保険)の書き方とポイント
後遺障害診断書の書き方とポイント(記入例)
等級認定にとって「後遺障害診断書の書き方」が重要であるとの考えがインターネットなどで多く広まっています。ヨネツボ北海道でも「これから病院に行くけど、どういうふうに書いてもらったらいいの?」という電話相談がたまにあります。
しかし、あくまで作成するのは症状の経過を把握し治療を行ってきたお医者さんです。医師から「どんなことを書いたらいいか?」などと聞かれない限り、被害者の立場で、「こう書いてください!」とは言えません。また、現実にそう聞かれても、「何をお願いしたらいいのかわからない」というのが被害者さまの心情ではないかと思います。そこで、わたしたちは、次の手順が穏当ではないかと考えています。
下記に後遺障害診断書用紙とヨネツボ式「後遺障害認定診断書+照会回答書」のサンプルがダウンロードできます
- (1)後遺障害診断書の内容は、当然、医師の診断に任せる
- ※医師から何を書いてほしいか聞かれない限り、こう書いてくださいなどとは言わない。
- (2)患者として、残っている症状はもれなく伝える努力をする
- ※首の痛み、右耳鳴、左手4・5指のしびれなど、どの部位にどんな症状が残っているのかを正確に伝える。
- (3)後遺障害診断書に記載されない内容について、自賠責の認定基準上、特に重要なポイントは、別途、医師に照会し回答してもらう
- ※医療調査、照会回答書等の作成は経験豊富な行政書士に依頼することをお勧めします。
以上の点を踏まえて、「後遺障害診断書の書き方」について、留意点を挙げるとすれば、「治る見込みがある」などと読み取れるコメントがあってはいけないということではないでしょうか。そもそも後遺障害診断書は、「これ以上、治療を続けても症状に大きな変化がないこと(症状固定)を前提として医師の診断により作成されます。そのため、「治る見込みがある」という事とは矛盾してしまいます。
後遺障害診断書の各項目の書き方について
ここでご紹介する記入例は、必ずしも理想的な内容をご紹介するものではありません。 同じ内容であっても認定される場合、認定されない場合があります。理想的な記載内容は、被害者さまごとに異なります。 誤解されやすいことですが、等級認定は後遺障害診断書のみで決定しているわけではありません。
項目 | 内容 |
---|---|
氏名 | 氏名、住所や生年月日など、患者を特定するための情報を記載します。 しばしば年齢や職業が記載されていないことがありますが、特段問題はないようです。 |
受傷年月日 | 受傷した年月日を記載します。 |
症状固定日 | これ以上治療を続けても回復の見込みがないという時点を症状固定日といい、 それまでの治療状況・症状経過などを考慮して、医師の医学的知見をもとに決められるべき事項です。 しかし、現実には相手方保険会社の意向や被害者の要望、 診断書記載方法に対する医師の誤解などから、重要な記載事項であるにもかかわらず、不適切な時期が症状固定日として記載される場合もあります。 |
当院入通院期間 | 病院での入通院期間を記載してもらいます。転院した場合は、転院前の入通院について記載されないことになります。全ての 入通院状況は、月々の診断書と診療報酬明細書により、自賠責保険に情報が伝わります。 |
傷病名 | 傷病名を記載します。後遺症にかかわる傷病名など、主要なもののみ記載される場合もあります。頚椎捻挫、脳挫傷、頚髄損傷、多発肋骨骨折など。 |
既存障害 | 被害者から聴取した過去の既往症が記載されます。 今回の後遺症に影響を与えない場合は、その旨コメントしてもらいましょう。 |
自覚症状 | 被害者が訴える症状固定時点の症状を書いてもらいます。頚部痛、頭痛、記憶障害、排尿障害など。自覚症状はもれなく医師へ伝えましょう。 |
他覚症状 | 画像検査から他覚的所見といえるものを書いてもらいます。外傷によらない変性所見であっても、記載されたほうがよいでしょう。 神経学的検査を実施した場合は、その結果も記載してもらいます。 |
障害内容の増悪・緩解の見通し | 後遺症について、軽減、不変、増悪、緩解など、診断書作成時点での今後の見通しを記載します。 医学の専門家として意見を書けばよいのですが、その医師の考え方や『後遺障害診断書』の目的の捉え方により、 記載される内容に差が出てしまい、それが認定に影響を与える場合もあります。 緩解(寛解)とは、症状が軽減、安定している状態を表す言葉です。 |
後遺障害診断書のサンプル及び照会回答書(ダウンロード可)
後遺障害診断書の書き方について、主治医にお願いするというのは、実際、とても難しいことです。なかには医師とトラブルになり診断書自体の作成がなされない事もあります。そのため、ヨネツボ北海道では後遺障害診断書の他、これまで蓄積した経験に基づき、自賠責保険の認定基準上、意味があると思われる事実を書面化し、これを提出いたします。この一連の作業をヨネツボ北海道では「医療調査」と呼んでいます。これにより、後遺障害診断書を作成する医師へ口を出さずに、過不足なく必要な情報を収集しております。
※被害者請求及び実地調査に基づく事実証明書類作成は、いずれも行政書士の独占業務です。行政書士(または、行政書士法人)でないものは、業としてこれらを行うことができません。違反すれば1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(但し、弁護士を除く)。
ヨネツボ式「後遺障害認定診断書+照会回答書」(519KB)
後遺障害診断書用紙(書式/ダウンロード)(212KB)
後遺障害診断書の費用について
後遺障害診断書の作成にかかる費用は5000~10000円程度です。金額は病院が自由に決めることができます。まれに数万円かかるケースもあります。
後遺障害診断書を自ら受け取る場合は、診断書と引き換えにその費用を支払うケースが多く、その場合、必ず領収書をもらい確実に保管しましょう。
一般的に等級が認められた場合、その費用は、保険会社が負担することが多いようです。しかし、等級が認められなかった場合、賠償の対象外として保険会社が扱うのが普通です。(実務上、正当な取り扱いかと思われます。)ただし、等級が認められない場合でも診断書代を支払ってくれるケースもありますので、領収証は処分せずに保管しましょう。
後遺障害診断書についてよくある質問
- 後遺障害診断書とはなんですか?
- これ以上治療を続けても回復の見込みがない旨、作成してもらう診断書のことです。
- 後遺障害診断書はなぜ必要なのですか?
- 治療を続けた結果、症状が完治すれば当然作成の必要はありません。しかし、症状が残ってしまった方は、その症状が自賠責保険の認定基準に照らして「後遺障害等級」に当たるかどうかの判断を受けなければなりません。そのために必要な診断書です。
- 医師に依頼した後遺障害診断書にほとんど何も書かれていません。どうしたらよいですか?
- 後遺障害診断書は被害者さまの治療を行った医師に作成してもらうのが通常です。症状経過や治療内容を考慮して症状の残存性についても記載してもらう必要があります。被害者さまの症状をあきらかにするために必要な書類ですので、ご不安があれば後遺障害の専門家にご相談してみてください。
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