北日本ヨネツボだより 第11号 知っておきたい!事故の知識、保険の知識
2013年05月09日
「北日本ヨネツボだより」は、ヨネツボグループ北日本地区の事務所合同で発行する医療従事者さま向けのニュースペーパーです。ご意見・ご感想をお寄せください。札幌 太田・重共、八戸 皆川、秋田 須田、仙台 小田川、新潟 佐々木
知っておきたい!事故の知識、保険の知識
海外旅行傷害保険 ~傷害保険より、まずは医療費用保険の充実を
北国にも春が来ました。ゴールデンウィークには海外旅行に出かけた方もいらっしゃったと思います。その時加入するのが「海外旅行傷害保険」です。
海外旅行傷害保険は基本契約が傷害保険、つまりケガをしたり、亡くなった時に出る保険で、それにオプションでいろいろな保険を付帯するものです。全部付けてしまえば安心ですが、もちろん保険料もそれだけ高くなってしまいますので、何をオプションで付けるのかが重要です。
海外旅行傷害で一番請求が多いのは、ケガや病気をした時の医療費用保険金です。
健康保険制度がしっかりしている日本で暮らしていると、医療費は3割負担の感覚に慣れていますが、海外では健康保険はもちろん使えませんので病院にかかったら10割負担です。そして国にもよりますが、ちょっとした病気でも数万から十数万かかる場合があります。ましてや1日2日でも入院などという事になってしまうとびっくりする様な金額を請求されます。
海外旅行傷害保険は、まず医療費用保険の内容で選ぶべきと言って良いと思います。よくクレジットカードに自動的に付帯されている海外旅行傷害保険があってそれで大丈夫と思ってしまう方もいるようですが、医療費用の担保内容を確認して、不十分なら必ず別に加入しておきましょう。
また、病気になってしまった時の対応も重要です。現地の言葉に自信がなければ、病気になった時に、日本語で対応してくれる窓口がその国にあるのかどうかも大切です。保険金の支払い方も、立替が必要なのか、かかった病院に直接払ってくれるのか、保険会社や訪問する国によっても異なる場合があります。
注意が必要なのは、歯科治療の費用は出ません。海外旅行傷害保険で虫歯の治療をしてしまうということに繋がるからだと思いますが、急に痛みだした虫歯の治療について、たとえ悪意が無くとも支払われませんので出かける前に治療して、という事です。
次に良くあるのは、携行品損害の事故でしょうか。
携行品の保険は、海外で携行品を壊してしまったり、盗難に遭った時に支払われる保険です。治安の良い日本に慣れきっている日本人は思いも寄らないようなちょっとしたことで盗難事故に遭うようです。
なお、どこかに置き忘れてきてしまったといった「紛失」は、支払の対象になりません。そのため盗難事故は原則として現地の警察に盗難届を出して、受理されたという証明書を添付することになっています。大切なものを取られ、しかも観光の時間を割いて警察に届出するのは大変勿体ない事です。まずは十分注意することが肝要ですね。
Q&Aコーナー
毎回、皆さまからいただいたご質問の中から、掲載しています。ご質問がありましたら、最寄りのヨネツボ事務所へお寄せください
- 交差点での出合頭事故でケガをして入院しています。相手側に一時停止標識のある交差点で、私の方が優先でしたが、相手の保険会社からは私の方にも2~3割の過失があり、健康保険を使って治療しないと私の受取る賠償金が少なくなってしまう、というようなことを言われました。保険会社が強く言うので、とりあえず健康保険を使う事には同意しましたが、受取る賠償金が無くなるというのは、どういう事なのでしょうか?
- 被害者にも過失がある事案については、その過失分は被害者自身が負担をしなければなりません。どういう事かというと、治療費・休業損害・慰謝料などを合計した損害賠償額全体からその過失割合分が引かれて支払われるという事です。
たとえば、治療費(自由診療)が150万円、休業損害が150万円、慰謝料が100万円、損害額の合計が400万円で、過失割合が30%の例で考えてみましょう。
損害額の合計は400万円ですから、これから過失分30%を差し引いて、賠償金として支払われる金額は280万円になります。このうち、150万円は医療機関に支払わなければなりませんので、被害者自身が受取れる金額は130万円という事になります。これでは生活費となる休業損害も全額受け取ることができません。入院する様なケガをしたのに慰謝料はゼロです。
このとき、もし健康保険を使ったらどうなるでしょうか?
健康保険を使った場合、治療費全体が安くなるので仮に上の例で治療費は100万円になったとします。そして健康保険の自己負担分は30%ですので治療費は30万円です。休業損害150万円と慰謝料100万円は変わりませんので、損害の総額は280万円になります。これから過失割合を30%引くと受取れる総額は196万円となります。治療費30万円を医療機関に払うと受取額は166万円となります。
健康保険を使ったことで、被害者自身の受取額が36万円増え、何とか休業損害は全額受け取ることができ、わずかですが慰謝料ももらえたことになります。
なお損害額が自賠責の傷害部分120万円以内で、自賠責基準での賠償の場合は、被害者過失が7割未満であれば過失相殺はされません。自賠責の範囲を超えるようなケースは、ケガが重いほど健康保険を利用すべきだという事になります。個別具体的には最寄りのヨネツボへご相談ください。
自由診療と健康保険診療の違い
(計算式) | 自由診療 | 健保診療 |
---|---|---|
医療費 | 150万円 | 自己負担3割 30万円 |
休業損害 | 150万円 | 150万円 |
慰謝料 | 100万円 | 100万円 |
損害額合計 | 400万円 | 280万円 |
過失(-30%) | 120万円 | 84万円 |
賠償金額 | 280万円 | 196万円 |
医療機関への支払 | 150万円 | 30万円 |
被害者受取額 | 130万円 | 166万円 |
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